(Da 5 Bloods公式Facebookより引用)
こんにちは!そうちゃんです!
今回はNETFLIXオリジナル作品『ザ・ファイブ・ブラッズ』を紹介します!
本作は2020年にNETFLIXで配信されたベトナム戦争で戦った5人を描いた映画です。
監督は『ブラック・クランズマン』や『オールド・ボーイ』などで知られるスパイク・リーが監督を務めていてます。
本作はベトナム戦争時と現在を交互に映り変わっていいく手法となっています。
アメリカで起きたBlack Lives Matterの運動にも触れており、現代だけでなく戦時中の黒人の不当な扱いも描かれています。
ではでは早速『ザ・ファイブ・ブラッズ』のあらすじ・感想・考察をネタバレ形式で解説していきます!
それでは見ていきましょう!
もくじ
『ザ・ファイブ・ブラッズ』作品情報
タイトル | ザ・ファイブ・ブラッズ |
上映時間 | 154分 |
公開年(日本) | 2020年 |
制作国 | アメリカ |
Filmarks 評価(5点満点) | 3.8 |
『ザ・ファイブ・ブラッズ』あらすじ ※ネタバレ無し
ベトナム戦争でかつて共に戦った黒人元兵士ポール、オーティス、エディ、メルヴィン。
彼らはベトナムで戦士したノーマン隊長の遺骨を回収するために45年ぶりにベトナムに訪れる。
しかし、彼らの目的はそれだけではなかった...
NETFLIXオリジナル作品おすすめ10選
NETFLIXオリジナル作品おすすめ10選については、次の記事で解説しています。
『ザ・ファイブ・ブラッズ』感想 ※ネタバレ有り
注目のポイント
- 元々は違うストーリーだったの?
- モハメド・アリ
- ランボーをディスる!
- 黒人元兵士がトランプを推した訳
- 現代と過去で撮影方法が異なっている
元々は違うストーリーだったの?
本作の脚本が完成したときは白人のベトナム帰還兵が主人公だったんですよ!
やっぱり白人なんですね。
だけど、この時は映画化にはならず、後にスパイク・リーのもとへ企画が持ち込まれたという経緯で本作が誕生しました。
ただ、スパイク・リーはベトナム戦争だけではなく「黒人差別」とベトナム戦争の問題を深く掘り下げた設定に変更しました。
劇中でも言っていましたが、アメリカ国内の黒人の割合が10%程であるにも関わらず、ベトナム戦争に従軍した黒人は30%強だったと言われています。
戦争映画って基本実話じゃないですか?
誰が主役とか脇役という言い方は良くないかもしれないけど、少なくとも多くの黒人が戦場で戦って命を落としていることは事実。
だからこそ、「戦争」という歴史だけでなく、「黒人差別問題」が過去と現代でも続いていることをしっかり掘り下げるべきだと考えたんでしょうね。
実際、ラストには「Black Lives Matter」の運動を起こそうと躍起になっている若者たちが映っていました。
しかも、Black Lives Matterの運動が起きるよりも前に映画は完成しているんですけど、Black Lives Matterの問題が入ってくるんですよ。
最初は「予知してたのかよーー!」みたいな感じでしたが、運動を起こそうとしている中でも白人が黒人を殺害してしまうような差別的事件が当たり前に起きてしまう状況だということが分かりますね。
日本というアメリカから離れた場所だと昔よりも良くなっている印象をどうしても受けてしまうけど、そんなことはないんですね。
今も昔もずっと苦しみ続けているのが現状ということです。
モハメド・アリ
以前紹介した『あの夜、マイアミで』にも登場していましたモハメド・アリ。
ボクシング選手として有名なのはみなさんもご存じかと思います。
しかし、モハメド・アリはベトナム戦争の徴兵を断っているんですね。
なぜか?それは、
ベトナム人は戦わなければならない相手ではないから
冒頭のシーンからも分かりますよね。
彼らは白人のような酷い仕打ちもしないし、黒人を"ニガー"という差別的発言もしません。
そんな罪のない人間を殺めねばならないのはおかしいですよ。
戦う相手はベトナムではなく、白人であるという考えから徴兵を拒否しました。
しかし、これによりアリはアメリカ中から批判を浴び、タイトル剥奪。
それだけではなく、これが裁判にまで発展し、有罪判決を受けた彼はボクシング・ライセンスまで剥奪されることになります。
徴兵を断ったから捕まるというのがルールならば仕方ないとは思います。
だけど、途中で「白人の金持ちは大学へ行くから徴兵を逃れている」と言っていました。
これはもう差別でしょ。
アリの裁判だって陪審員は全員白人だったと言われています。
無理じゃん。
この一件がきっかけでアリは自分を批判する白人たちと戦っていくことになります。
アリの戦争反対の言動はだんだんと拡散していき、以前紹介した『シカゴ7裁判』のようなデモ運動にまで発展していくんですね。
シカゴ7裁判はこちら!
NETFLIXオリジナル作品『シカゴ7裁判』については、次の記事で解説しています。
ランボーをディスる!
ランボーは知っている方も多いかと思います。
『ロッキー』や『エクスペンダブルズ』の主演でお馴染みのシルベスター・スタローンが主演を務めた作品です。
なぜランボーの話題が出たかというと、ランボーもベトナム戦争で戦った帰還兵という設定なんです。
本作と同じ"ベトナム戦争"というところは同じですね。
ただ、本作の4人、特にメルヴィンがめちぁめちゃディスってるんですよね!
「ランボーは架空の敵と戦っただけの偽の英雄」「あの映画は偽物だ!」などなど。
ランボーをディスってる人あんまり見ないですけどね...
まぁ彼らはホントの戦場を経験していますからディするのも無理はないですね。
ただ、ランボーって意外にも公開当初はあまりヒットしなかったんらしいんですよ。
というのも、公開された時期が、ベトナム戦争やベトナム帰還兵に対する反発がまだまだ強かったからなんです。
ランボーという主人公像が受け入れられにくかったんでしょうね。
Netflixのザ・ファイブ・ブラッズ見て思ったけどランボーとか有名なハリウッド作品をあんなに批判できるのスパイク・リーくらいだよね
— Baum (@langeweil_t6) September 15, 2020
黒人元兵士がトランプを推した訳
トランプ氏がまだアメリカ大統領だった頃、黒人元兵士たちはトランプ氏支持しているんですよ。
何か今まで白人からの差別のことを話てきただけに意外ですよね。
なぜトランプ元大統領を支持していたのか?
アメリカの元軍人たちにものすごく福祉を厚くしようとしてる人だったから
トランプ元大統領のことで色々騒がれていましたから調べたりしてご存じの方もいるかもしれません。
先程も解説したようにベトナム戦争では黒人が多く派遣されました。
今まで国のために血を流して戦ってきた黒人元兵士たちは、帰って来てからはあんまりいい生活をしていないんです。
まぁこれも差別ですよね。
そこでトランプ元大統領は「これまで散々差別して蔑ろにしてきたあなたたちを厚く敬って福祉をしますよ!」ということを主張してきたので支持率が高かったんです。
こういった背景からポールはトランプ元大統領を支持していたんです。
だけど、それを聞いた仲間たちは「あんなインチキ野郎を何でお前は尊敬してるんだ?」と言うんです。
なぜならば、トランプ元大統領はベトナム戦争の時に『足の骨に異常がある』という言い訳をしてベトナム戦争に来なかったんです。
他のブッシュ元大統領とかクリントン元大統領も行かなかったそうです。
ふざけんな!って感じですよね。
まぁこういうことがあるからトランプ元大統領をむしろ"希望"に感じてしまったんでしょうね。
ドナルド・トランプはベトナム戦争当時、かかとの骨に突起があるという診断を理由に徴兵を免れた(スパイク・リー『ザ・ファイブ・ブラッズ』より)
— まだまだ手を洗おうキレィ *∩(´∀`)っ* キレィ海松 (@notumimatsu) July 9, 2020
現代と過去で撮影方法が異なっている
(Hollywood News公式Facebookより引用)
本作はベトナム戦争で戦っていた過去と隊長ノーマンの遺骨を回収するためにベトナムに舞い戻る現代を行き来します。
現在と過去で当然年齢も違いますから、髪が黒かったり軍服も今とは違ってたりと時代に合わせてちゃんと変化があります。
だけど、そういう見た目の部分だけでなく、映像のアスペクト比の違いや使い捨てカメラみたいなザラつきもあるので、説明無しに観ても「昔の事やってんのかな?」と分かるようになっているんです。
ちなみに過去の回想シーンは16mmフィルム映像風に撮影し、4:3のアスペクト比を採用しています。
ノーマンたちの過去の回想シーンだけではなく、冒頭で流れる実際の映像や静止画でも採用されているんですね。
だから、実際の映像はもちろんノーマンたちの過去の回想シーンもリアルに伝わってきます。
さすが!
『ザ・ファイブ・ブラッズ』キャスト
役名 | キャスト | 日本語吹替 |
ポール | デルロイ・リンドー | 広瀬 彰勇 |
オーティス | クラーク・ピーターズ | 谷昌樹 |
エディ | ノーム・ルイス | 山野井 仁 |
メルヴィン | イザイア・ウィットロック・Jr | 浦山 迅 |
ノーマン | チャドウィック・ボーズマン | 田村 真 |
デヴィッド | ジョナサン・メイジャーズ | 櫻井 トオル |
デローシュ | ジャン・レノ | 土師 孝也 |
監督 | スパイク・リー |
監督作品 『ブラック・クランズマン』『ドゥ・ザ・ライト・シング』 |
まとめ
いかがだったでしょうか?
ベトナム戦争という点以外はフィクションですが、差別は今も続いています。
だから、ただのフィクション映画で終わらせてはいけない映画です。
マルコムXやキング牧師のいた時代に起きた公民権運動ならぬ権利回復運動が今まさに行われています。
私たちも他人事だと思わず、本作のような映画も含めて色々調べて知る必要がありますね。
また、話は変わりますが、本作は亡きチャドウィック・ボーズマンの遺作でもあります。
2021年のオスカー候補にも挙がっている本作をまだの方はぜひチェックしてみてください!
それでは以上です。
【本作と同じく2020年に公開されたチャドウィック・ボーズマン出演映画】
ポイント
NETFLIXオリジナル作品『マ・レイニーのブラックボトム』については、次の記事で解説しています。